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特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)

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1. 公布日・施行日

 公布日:2021年4月28日

 施行日:2022年10月1日

2. 知っておくべき改正ポイント

(1) 発信者情報の開示を1回の手続で可能とする裁判手続の創設

(2) 開示請求の範囲の拡大

3. 改正法の概要

(1)≪発信者情報の開示を1回の手続で可能とする裁判手続の創設≫

 □ 現行法による不都合

 2回の裁判手続が必要で、5カ月から9カ月程度の時間と手間を要しています。

 ①コンテンツプロバイダ(ネット掲示板の運営元など)に対して発信者のIPアドレス等の情報を開示させる仮処分を行います。

 ②上記①により開示された情報をもとに、アクセスプロバイダ(通信会社や電機メーカーなど)に対して、契約者の氏名・住所などの情報開示を請求する訴訟を提起する必要があります。

 ■ 改正法

 1回の手続で処理できるよう発信者情報開示命令申立て手続(改正法第8条以下)を創設しました。

 この手続中に、裁判所がプロバイダらによる情報の消去を禁止すること(消去禁止命令申立て(法改正第16条))も可能とし、期間経過によって情報が得られないという事態も防止できるようになっています。

(2)≪開示請求の範囲の拡大≫

 □ 現行法による不都合

 「発信者情報」にログイン時のIPアドレス等が含まれている明記されておらず含まれるか否か判断が分かれています。プロバイダらによっては、問題の投稿を送信した際の発信者情報を保有せず、ログイン時・ログアウト時のIPアドレスやタイムスタンプという発信者情報のみ保有していないことがあります。そのため、発信者を特定できない場合があります。

 ■ 改正法

 ログイン時のIPアドレス等を「特定発信者情報」として、一定の要件を満たす場合に開示の対象とされることが明確になりました(改正法5条)。

4. まとめ

 今回の改正により、発信者情報の開示を1回の手続で可能とする裁判手続が創設され、開示までの手続きの円滑化が図られました。また、開示請求の範囲が拡大されたことにより、従来より発信者の特定が容易になりました。
 
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弁護士 森谷 拓朗