2018年春から、帝国ニュース【北海道版】で「弁護士に学ぶ!成長のための企業法務」というタイトルで毎月1回連載させていただいています。
ここでは、同連載でこれまで取り上げたテーマを振り返りつつ、法改正や実務動向の変化を踏まえて、要点のみを改めて端的に伝えていきます。
今回のテーマは↓です。
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コンプライアンスを正しく捉える
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1.コンプライアンスを正しく捉える必要性
コンプライアンスという単語が日本で使われ始めたのは、1990年ころと言われています。それから30年たって「コンプライアンス」という単語は定着しましたが、その意味内容が正しく理解されているかというと、必ずしもそうではありません。
同じ職場で、コンプライアンスについて誤解があれば、知らない内にコンプライアンス違反を犯したり、又はコンプライアンス違反が生じたときに正しい対応ができなかったりします。
そのため、コンプライアンスの意味内容を正しく理解し、それを職場内で共有することがコンプライアンスの徹底に向けて重要な課題です。
2.コンプライアンス=法令順守?
コンプライアンスというと「法令順守」とか「法令遵守」と訳されることが多いのですが、間違いではありませんが、十分ではありません。
コンプライアンス(Compliance)という単語は、「~に従うこと」という意味ですが、語源的に見てもLawやLegalといった法律や法令といった単語は含まれていません。
法令は最低限の道徳や倫理を記載したものと言われるように、社会が従う規範は法令だけではありません。会社が自社で定めた企業倫理や社内のルールを守ることはもちろんですが、その背景にある社会の要請に従う必要があります。
3.コンプライアンス=社会の要請に従うこと
以上のとおり、コンプライアンス=法令遵守のように狭く捉えることなく、コンプライアンス=社会の要請に従うことと広く捉えなければなりませんし、社会の要請を意識しつつ時代に沿った企業運営を行うことが大切です。
企業は、社会に有益であるからこそ、存続が許され、成長が認められる存在です。社会がどのような企業のあり様を求めているかを考えながら、時代に合った企業運営をしていくこと必要があります。
ぜひ、今一度、自社の商品やサービス、自社内部の制度や運用が、社会の要請に応える内容になっているか否かを点検していただければと思います。
弁護士 奥山 倫行
