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【建築1】「建築」にはどんな法律が関係するの?

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1.ごあいさつ

 はじめまして、アンビシャス総合法律事務所の弁護士三本竹寛(さんぼんちくかん)と申します。

 私は、弁護士として4年目で、これまで建築に関するご相談に携わる機会をいただきました。昔から「建物」や「まちづくり」に興味を持っており、弁護士になってからも全国各地を旅行してその地域特有の街並みを見て回ることが趣味になっています(最近だと広島県尾道市を探索しました)。今後は、個人的な趣味としてだけではなく、法律の専門家としても「建物」や「まちづくり」に関わっていきたいと思っており、その一環として、定期的に建築に関する勉強会に参加したりもしています。
 
 このような背景もあり、このコラムでは「建築」をテーマに連載させていただくことになりました。私自身も建築について学びながら、皆さまのお役に立つ内容をお伝えしていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

2.建築に関与する人や法制度

 読者の皆さまの中には「建築」に携わっている方もたくさんいるのではないでしょうか。

 住宅建築を例にすれば、建築を注文する施主や、建物の設計・監理をする建築士、工事を請け負う施工者のほか、建築計画が建築基準法等の各種法令に適合しているかを確認・検査する確認検査機関など、建築には多くの人たちが関与します。また、住宅の近隣住民との関係も無視することができません。

 このように建築には数多くの関係者が登場するため、それらの利害関係を調整するための法制度も幅広く、複雑な内容になっています。建築基準法や都市計画法、民法や品確法(正確には「住宅の品質確保の促進等に関する法律」)など数多くの法令が絡んでくるため、法制度の全体像が分かりづらくなっていますが、このコラムでは法制度を3つのグループに大別して説明してみたいと思います。

(1)行政機関・公共との関係を規律する法制度

 通常、建築物の建築をする場合には、建築計画が各種法令に適合するものかどうかについて、行政機関などによる確認検査を受ける必要があります(建築基準法6条、7条)。法令に違反する場合には、施工者などの関係者に対して工事の停止や是正命令がされることがありますし(同法9条)、命令違反には罰則が設けられているため(同法98条等)、無視できない規制となっています。
 
 確認検査の対象となる法令には、建築基準法、都市計画法、消防法、水道法といった法律のほか、建築基準法に基づいて制定される地方公共団体ごとの条例も含まれます。
 
 建築にこのような厳しい規制がされているのは、建築物が入居する住民のみならず、地域社会の秩序や近隣住民の生活環境など「公共」にも影響を及ぼすためです。
 
 「公共」との関係でどのような規制をすべきかという点は、時代の流れに応じて変化・発展していきます。

(2)取引関係者との関係を規律する法制度

 建築物を建築する場合には多くの取引が生じます。建築物の設計や施工を請け負う場合には施主(注文者)との取引がありますし、施工を他の業者に下請けする場合もあります。
 
 このような取引関係者との関係を規律する法令には、民法や商法のほか、取引の形態によっては、品確法、瑕疵担保責任履行法(「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」)、特商法(「特定商取引に関する法律」)、消費者契約法なども含まれます。
 
 取引関係者との関係を規律する法制度については、事業活動を行う上で日頃から注意しておくべき点があります。

(3)その他の法制度

 建築物には、住居や商業施設といった実用的側面だけなく、芸術的側面も強く兼ね備えている場合があります。
 
 外観や内装デザインにこだわって設計・施工された建築物が他者に模倣された場合には、著作権法や不正競争防止法、意匠法などの法令により規律されることになります。

 近時、意匠法が改正され、建築物や内装デザインが意匠権の保護対象(意匠法2条)に追加されるなどの動きもあります。

3.まとめ

 今回のコラムでは、建築に関する法制度を3つのグループに大別して概観してきました。

 次回以降のコラムでは、最近の法制度の変化・発展、事業活動での注意点、建築物の芸術性などグループごとに少し踏み込んだ内容をお伝えしたいと考えていますので、今後もお読みいただければ幸いです。

弁護士 三本竹 寛