1. 公布日・施行日
公布日:2023年3月31日
施行日:2023年10月1日
※施行日前の消費税法を現行法といい、施行日後の消費税法を改正法といいます。
2. 知っておくべき改正ポイント
①従来の請求書(区分記載請求書)からインボイスへの変更に伴う記載事項の追加
②売り手の交付義務の追加
③売り手・買い手の保存義務の追加
3. そもそもインボイス制度とは?
(1) インボイス制度導入の経緯
消費税率8%と10%の複数税率が存在することとなったため、区分経理に対応した帳簿及び区分記載請求書等を保存する方式(区分記載請求書等保存方式)が、インボイス制度導入までの経過措置として、2019年10月1日に導入されました。
この経過措置は2023年9月30日までであり、同年10月1日から、インボイス制度が適用されます。
(2) インボイス制度とは
インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」といい、現在の消費税率8%と10%の複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式を指します。
仕入税額控除とは、課税事業者が消費税を納税する時に、仕入にかかった消費税を差し引くことができる制度です。下記の図を参考にしますと、A社はB社に売った際に、消費税として1500円負担しており、A社は仕入先より、消費税として1100円を預かっております。このとき、仕入税額控除が適用できると、納税する税額は、売上げの消費税額1500円から仕入や経費の消費税額1100円を控除した400円となります。他方で、仕入税額控除が適用できない場合、納税する税額は売上げの消費税額1500円となります。

また、インボイスを交付することができるのは、税務署長の登録を受けた課税事業者のみです。そのため、事前に登録を受ける必要があります。
4. 改正の概要
(1) 記載事項(改正法57条の4第1項)
区分記載請求書の記載事項として、①請求書発行者の氏名・名称②取引年月日③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)④税率ごとに区分して合計した税込対価の額⑤請求書受領者の氏名又は名称が必要でした(現行法30条9項)。
改正により、インボイスに記載が必要な事項として、区分記載請求書の記載事項に加えて、①登録番号②適用税率③税率ごとに区分した消費税額等が加わりました(下記「適格請求書」参照)。

(2) 交付義務(改正法57条の4第1項、第5項)
買い手から求められた場合は、インボイスを交付しなければなりません。
交付は書面でも、電子データでも可能です。
(3) 保存(改正法57条の4第6項)
売り手側は、交付したインボイスを交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要があります。
また、買い手が仕入税額控除の適用を受けるためには、同様に交付されたインボイスを7年間保存する必要があります。
5.まとめ
今回の改正により、インボイス制度が始まり、売り手、買い手にも、適用があります。どのような記載にするのか、どのように交付し又は保存するのか、社内での管理体制を整える必要がでてきます。
気になる方がいましたら、一度ご相談いただければと思います。
弁護士 森谷 拓朗
