2018年春から、帝国ニュース【北海道版】で「弁護士に学ぶ!成長のための企業法務」というタイトルで毎月1回連載させていただいています。
ここでは、同連載でこれまで取り上げたテーマを振り返りつつ、法改正や実務動向の変化を踏まえて、要点のみを改めて端的に伝えていきます。
今回のテーマは↓です。
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著作権(職務著作)
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職場で制作するデザイン等の著作物の権利帰属については、よく相談を受ける事柄です。↓の内容をご確認ください。
1. 商品のパッケージデザインの著作権は誰のもの?
著作権は、著作物を創作した人に帰属しますので(著作権法第17条第1項)、今回のご相談の場合、商品のパッケージデザインを創作した従業員に著作権が帰属するのが原則です。しかしながら、例外として、図表に記載した全ての要件を充足する場合には、「職務著作」といって、法人に著作権が帰属するとされています(著作権法第15条第1項)。
| 職務著作に該当するための要件(著作権法第15条第1項) | |
|---|---|
| (1) | 法人その他使用者(法人等)の発意に基づいて創作されたこと |
| (2) | 法人等の業務に従事する者が職務上作成したこと |
| (3) | 法人等が自己の著作の名義の下に公表すること |
| (4) | 契約や勤務規則等に別段の定めがないこと |
2. 職務著作に該当する場合
それぞれの要件を説明させていただきます。
(1)法人その他使用者(法人等)の発意に基づいて創作されたこと
「法人等の発意に基づいて創作された」というのは、著作物の創作が法人の業務命令に基づいて行われたとか、法人の企画立案に基づいて行われたということです。将来立証する必要が生じた場合に困らないように、日頃から、業務上の指示をメール、社内チャット、会議の議事録等、記録に残る方法で行うことを業務上の習慣としておくことが有益です。
(2)法人等の業務に従事する者が職務上作成したこと
「業務に従事する者」というのは、法人等と著作権を創作した者との間に雇用関係があることに加えて、派遣労働者等、実質的にみて法人等の内部において従業者として従事していると認められる関係があることをいいます。
(3)法人等が自己の著作の名義の下に公表すること
職務著作に該当するとされるためには、法人等の名称を著作者として表示することが必要になります。例えば、商品パッケージに「この商品のパッケージデザインの著作権は当社に帰属します」等の記載がされていることが必要になります。
(4)契約や就業規則等に別段の定めがないこと
最後に、従業員との契約や就業規則等に「業務上創作した著作物の著作権は、著作物を創作した従業員に帰属する」等の規定がないことを確認する必要があります。
3.職務著作に該当しない
上記(1)から(4)の要件を満たさず、商品のパッケージデザインが職務著作に該当しない場合には、退職する従業員との間で著作権に関する権利処理を行う必要があります。具体的には、退職する従業員との間で、従業員から会社が著作権の譲渡を受けることを内容とする契約を締結する必要があります。今回は紙面の関係もあり詳しくは説明しませんが、その際には、著作権法第27条及び第28条の権利も譲渡を受ける内容にしておくこと、著作者人格権を行使しない旨の誓約を取得しておくことといった注意点があります。
弁護士 奥山 倫行
