1.はじめに
前回のコラムでは、事業承継の代表的な手法について、M&A(事業を社外に引き継ぐ方法)を例に説明させていただきました。
今回のコラムでは、事業承継をサポートする支援機関として、どのようなものがあるか、また、それらの支援機関による望ましい支援の形がどのようなものであるかについて説明させていただきます。
2.事業承継の支援機関とその特徴
事業承継の支援機関の一例として、以下が挙げられます。中小企業経営者の周囲には、身近な支援機関から専門的な支援機関まで、多様な支援機関が存在しますので、事業承継についてお考えの場合、まずは相談しやすい支援機関に声をかけてみることが重要な第一歩になると思います。
(1)士業等専門家
士業等専門家としては、行政書士、公認会計士、司法書士、税理士、中小企業診断士、弁護士等が挙げられます。それぞれの士業の詳細は割愛しますが、行政書士であれば事業承継における許認可の手続支援、公認会計士であれば財務・会計面での調査や意見等の支援というように、それぞれの専門性に応じた支援を行います。
(2)金融機関
金融機関は、中小企業の経営状況を把握しているため、これを踏まえた支援を実施することが可能です。そのため、事業承継の支援機関の中でも入口としての役割を果たすことが多いと思われます。
(3)商工会・商工会議所
商工会・商工会議所は、中小企業のサポートを主たる業務としており、中小企業経営者と信頼関係を構築しているため、事業承継に関する情報提供や他の支援機関と連携することなど、柔軟かつ広範な支援を行います。
(4)登録M&A支援機関
中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するために設けられる登録制度において登録された支援機関となります。M&A仲介業務やファイナンシャル・アドバイザー業務等、M&Aに関する幅広い支援を行います。
(5)公的機関
公的機関としては、事業承継・引継ぎ支援センター、中小企業再生支援協議会、よろず支援拠点、独立行政法人中小企業基盤整備機構、中小企業庁・経済産業局等、多数の支援機関が存在します。
3.望ましい支援の形
このように、事業承継の支援機関には様々なものが存在しますが、事業承継支援の形として、「経営力再構築伴走支援モデル」に基づく事業承継支援が有効と考えられています。
この「経営力再構築伴走支援モデル」とは、中小企業庁があるべき中小企業伴走支援の姿を整理したものであり、事業承継においてもこのような支援の形が望ましいと考えられています。

そして、支援機関の経営力再構築伴走支援の実施主体を、事業者の規模や特性、局面から以下の図のとおり整理することができます。

4.まとめ
今回のコラムでは、事業承継の支援について説明させていただきました。事業承継の支援機関には様々なものが存在し、単発の相談のみですべての疑問を解決し、事業承継を実行することは難しいと思います。
そのため、事業承継をお考えの方は、まずは身近な支援機関に相談することを強くお勧めします。もちろん当事務所の弁護士に相談いただければ、全力をお力添えいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
弁護士 髙塚 慎一郎
