1. 公布日・施行日
公布日:2022年12月16日
施行日:2024年4月1日
- ※こちらの記事では、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」を障害者総合支援法といいます。
- ※改正前の障害者総合支援法を旧法といい、改正後の障害者総合支援法を新法といいます。
2. 知っておくべきポイント
(1)就労選択支援が創設されたこと(改正法5条13項)
(2)グループホームの支援内容が拡充し明確化されたこと(改正法5条17項)
3. 法の概要
(1)法の目的
障害者及び障害児が、個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進や、障害の有無にかかわらず安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目的としています。
(2)就労選択支援の創設
- 旧法の課題
旧法では、障害者が就労を希望する場合、就労能力や適性については、就労系障害福祉サービスの利用開始の段階で把握する仕組みがありましたが、必ずしもそれらを踏まえた働き方や就労先の選択につながらず、質が担保されていないという課題がありました。 - 改正法による対策
上記課題を解決するため、就労選択支援が創設されました。
就労選択支援とは、本人の就労能力や適性、本人の強みや課題等を評価する方法である就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望や就労能力等にあった働き方を選択するよう支援するサービスをいいます。
就労選択支援の流れは以下のとおりです。

(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要」https://www.mhlw.go.jp/content/001000995.pdf )
(出典:厚生労働省「就労アセスメント実施マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000822241.pdf )
(3)共同生活援助の拡充(改正法5条17項)
- 旧法の課題
グループホームの利用者が増加している現状において、利用者には、グループホームでの生活の継続を希望する方がいる一方で、アパートなどでの一人暮らし等を希望し、生活上の支援があれば一人暮らし等ができる方もいます。しかし、旧法においては、グループホーム利用者に対する援助は、主に夜間の食事や入浴、排せつ等の生活支援や相談業務のため、一人暮らし等を希望する方への支援業務が含まれていません。 - 改正法による対策
改正法では、共同生活(グループホームでの生活を意味します)援助に、一人暮らし等への移行を希望する入居者に対し、居宅生活への移行や移行後の定着に関する相談等の支援を実施することが含まれました。具体的には、以下の事項が想定されます。
| 旧法 | |
|---|---|
| 1 | 夜間における、共同生活に関する相談、入浴、排せつ、食事の介護等 |
| 2 | 利用者の就労先や日中活動サービス等との連絡調整 |
| 3 | 余暇活動等の社会生活上の援助 |

| 改正法 | |
|---|---|
| 1 | 一人暮らし等に向けた調理や掃除等の家事支援 |
| 2 | 買い物等の同行 |
| 3 | 住宅確保支援や当該グループホームの事業者が相談等の支援を一定期間継続すること |
(出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/001000995.pdf )
4.まとめ
障害者が就労を希望する場合、就労アセスメントを用いて障害者から希望を聞き取る必要が生じます。これにより、障害者の採用時の対応を変更する場合も生じますので、社内研修やマニュアル作成を行うにあたって疑問点や不明点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
弁護士 森谷 拓朗
