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【職業安定法関係指針】職業紹介の際の就職お祝い金の提供が原則禁止されます!

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1. 公布日・施行日

 公布日:2024年10月11日
 施行日:2025年4月1日

 ※職業安定法を法といいます。
 ※職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針を職業安定法関係指針といいます。
 ※施行日前の職業安定法関係指針を現行指針といい、施行日後の職業安定法関係指針を改正指針といいます。

2. 知っておくべき主な改正ポイント

 ① 募集情報等提供事業者が労働者に金銭等を提供することの原則禁止化
 ② 違反した場合の効果

3. 改正の概要

(1)募集情報等提供事業者が労働者に金銭等を提供することの原則禁止化(改正指針第8条第5項第3号)

 ア 改正による規制状況の変化

 雇用仲介事業者(転職エージェントなど)による労働者になろうとする者への金銭等の提供は、従前より原則禁止とされていました(現行指針第6条第9項第3号)。規制の目的は、早期離転職による定着阻害や、それに伴う求人側の手数料負担の問題等の問題解消にあります。

 他方で、募集情報等提供事業者(求人サイトの運営者など)による金銭等の提供は、雇用仲介事業者の場合と同様の問題を含む複数の問題点が指摘されてきたにもかかわらず、これまで禁止されてはいませんでしたが、今回の改正により原則禁止となりました。

現行指針における規制改正指針における規制
労働者になろうとする者に対する雇用仲介事業者による金銭等の提供は原則禁止労働者になろうとする者に対する雇用仲介事業者及び募集情報等提供事業者による金銭等の提供は原則禁止

 イ 提供が禁止される金銭等の範囲

 改正指針第8条第5項第3号の原文は、規制の対象を「お祝い金その他これに類する名目で社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供すること」と表現しています。そのため、どのようなものが規制の対象となる金銭等に該当するのかが問題となります。

 この点について、厚生労働省は、「個々のケースについて、提供される金銭等の趣旨だけではなく、額や経済価値、提供手法、その有する離転職誘引効果、複数事業者からの料金請求等に伴うトラブルが生じやすいまたは生じてきた形態かどうかなど、労働市場への影響をみて、総合的に判断」するという見解を示しています。

 具体的な例として、ポイントカードのポイント付加は金銭と同じように利用できるため原則禁止の対象であるとした上で、原則禁止の対象外のケースとして下記①及び②が示されています。

 ① 提供するサービスの質の向上を図るため、サービス利用者からアンケート等への回答を求める場合であって、回答者すべてに対してではなく、抽選による少数者に対して、500円程度の電子ギフト券等を提供するもの
 ② イベント来場者を確保するため、転職フェアへの来場及びブース訪問者に対して、500円程度の電子ギフト券等を提供するもの(求人サイトへの登録の対価として提供されるものを除く)


(2)違反した場合の効果

 職業安定法関係指針に違反した場合、ペナルティとして以下の行政処分を受けるおそれがあります。

 ① 厚生労働大臣の指導・助言・改善命令・公表等(法第48条の2、法第48条の3第1項、同条第3項)
 ② 事業停止命令(法第39条の9第2項)
 ③ 有料職業紹介事業者の許可取消し(法第32条の9第1項第3号)


4.まとめ

 今回の改正により、求人サイト等を運営する募集情報等提供事業者は、利用者に対するサービスとして規制対象となる金銭等の提供を自社が実施していないかを確認し、必要に応じてサービスを見直す必要があります。

 自社のサービスが規制対象となる金銭等の提供に該当するかの判断でお悩みの際には、お気軽にご相談ください。

弁護士 森谷 拓朗