当事務所のHPはこちらです。https://ambitious.gr.jp/

【改善基準告示】2024年問題について説明します!

この記事は約6分で読めます。

1. 公布日・施行日

 公布日:2022年12月23日

 施行日:2024年4月1日

 ※施行日前の改善基準告示を現行告示といい、施行日後の改善基準告示を改正告示といいます。


2. 知っておくべきポイント

 トラック、バス、タクシー・ハイヤーのドライバーの労働時間が短縮されること


3. 改正の概要

(1)前提

 ◆対象

 改正告示の適用対象は、「四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事するもの」です(改正告示1条)。実態として、①物品又は人を運搬するために自動車を運転する時間が現に労働時間の半分を超えており、かつ②当該業務に従事する時間が年間総労働時間の半分を超えることが見込まれる場合には、「四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事するもの」に該当することとなります。

 ◆拘束時間(改正告示2条)

 労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む。)の合計時間、すなわち、始業時刻から終業時刻までの使用者に拘束される全ての時間をいいます。

 ◆休息期間(改正告示2条)

 使用者の拘束を受けない期間、つまり、勤務と次の勤務との間にあって、休息期間の直前の拘束時間における疲労の回復を図るとともに、睡眠時間を含む労働者の生活時間として、その処分が労働者の全く自由な判断に委ねられる時間をいいます。休憩時間や仮眠時間等とは本質的に異なるものです。

(出典:厚生労働省「タクシー・ハイヤー運転手の労働時間等の改善基準のポイント」https://www.mhlw.go.jp/content/2023_Pamphlet_TH.pdf


(2)タクシー運転者の場合

 ◆原則

現行告示改正告示
1カ月の拘束時間299時間が限度288時間が限度
1日の拘束時間13時間が基本
(延長する場合は16時間が限度)
13時間が基本
(延長する場合は15時間が限度であり、14時間超の拘束は週3回までが目安)
1日の休息期間勤務終了後継続し8時間以上必要勤務終了後継続して11時間与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らないことが必要

 ◆例外:隔日勤務者

 隔日勤務者とは、始業及び終業の時刻が同一の日に属さない業務をしたのち、日勤勤務よりも長い休息期間をとる働き方をする者をいいます。

 以下のとおり、上限が変更されました(改正告示2条1項1号ないし4号)。

現行告示改正告示
1カ月の拘束時間262時間が限度
(特別な事情がある場合は労使協定により270時間まで延長可能)
変更なし
2暦日の拘束時間21時間が限度22時間が限度であり、かつ、2回の隔日勤務を平均した1回当たりの拘束時間は21時間が限度
休息期間勤務終了後継続して20時間以上必要勤務終了後継続して24時間以上与えるように努めることを基本とし、22時間を下回らないことが必要


(3)ハイヤー運転者の場合(改正告示2条5項、3条)

 ハイヤー運転者とは、認可を受け、営業所のみで予約を受け付けるものをいい、その勤務の実態を踏まえ、タクシー運転者に適用される拘束時間、休息期間等の規定は適用されません。

 もっとも、時間外労働に関して、以下の変更があります。

現行告示改正告示
月単位の時間外労働1カ月50時間または3カ月140時間1カ月45時間
年単位の時間外労働1年間450時間の目安時間1年間360時間


 (4)トラック運転者の場合

 ◆原則(改正告示4条1項1号ないし5号)

 以下のとおり、上限が変更されました(改正告示2条1項1号ないし4号)。

現行告示改正告示
1カ月の拘束時間293時間が限度
(労使協定を締結した場合には、1年のうち6カ月までは、1年間の拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、1カ月の拘束時間を320時間まで延長可)
284時間が限度
(1年間だと3,300時間が限度)
(労使協定を締結した場合には、1年の拘束時間を3,400時間、1カ月の拘束時間を310時間(年6カ月まで。284時間以上は連続3カ月まで)まで延長可)
1日の拘束時間13時間が基本
(延長する場合は16時間が限度)
13時間が基本
(延長する場合は15時間が限度であり、14時間超の拘束は1週間につき2回を目安)
1日の休息期間勤務終了後継続し8時間以上必要勤務終了後継続して11時間与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らないことが必要

 ◆例外

 休息の分割について、以下のとおり、変更されました(改正告示4条4項1号)。

現行告示改正告示
休息の分割勤務終了後、継続して8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、一定期間(2週間から4週間程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度として、1回当たり継続4時間以上、合計10時間以上の休息期間を、拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができる勤務終了後、継続して9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、一定期間(1カ月程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度として、1回当たり継続3時間以上、2分割する場合は合計10時間以上、3分割する場合は合計12時間以上の休息期間を、拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができる(休憩を分割して与える場合は、3分割が連続しないよう努める必要有)


(5)バス運転者の場合

 ◆原則

 以下のとおり、上限が変更されました(改正告示5条1項1号ないし4号)。

現行告示改正告示
4週間を平均した1週間当たりの拘束時間65時間が限度
(貸し切りバスを運行する営業所において運転の業務に従事する者、貸し切りバスに乗務する者および高速バスに乗務する者との間で労使協定を締結した場合には、52週間のうち16週間までは、4週間を平均した1週間当たりの拘束時間を71.5時間まで延長)
以下のいずれかを選択できる。
①1年3,300時間以内および1カ月281時間以内
②52週3,300時間以内および4週間を平均した1週間当たり65時間以内
(貸し切りバスを運行する営業所において運転の業務に従事する者、貸し切りバスに乗務する者および高速バスに乗務する者との間で労使協定を締結した場合には、①1年3,400時間および1カ月294時間(年6カ月まで。281時間は連続4カ月まで)②52週3,400時間および4週間を平均した1週間当たり68時間(65時間超は連続16週まで))
1日の拘束時間13時間が基本
(延長する場合は16時間が限度)
13時間が基本
(延長する場合は15時間が限度であり、14時間超の拘束は週3回までが目安)
1日の休息期間勤務終了後継続し8時間以上必要勤務終了後継続して11時間与えるよう努めることを基本とし、時間を下回らないことが必要

 ◆例外

 休息の分割について、以下のとおり、変更されました(改正告示5条4項1号)。

現行告示改正告示
休息の分割勤務終了後、継続して8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、一定期間(2週間から4週間程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度として、1回当たり継続4時間以上、合計10時間以上の休息期間を、拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができる。
 
身体を伸ばして休息することができる設備のある車両に運転者が2人以上乗務する場合、1日の最大拘束時間を20時間まで延長でき、休息期間を4時間まで短縮できる
勤務終了後、継続して9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、一定期間(1カ月程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度として、1回当たり継続4時間以上、合計11時間以上の休息期間を、拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができる。
 
身体を伸ばして休息することができる設備のある車両に運転者が2人以上乗務する場合、1日の最大拘束時間を29時間まで延長でき、休息期間を5時間まで短縮できる


4.まとめ

 今回の改正により、自動車運転者の労働時間の上限が短縮されました。そのため、当該事業を行う会社は上限に配慮した勤務体制の構築が必要となります。また、物流による影響を受ける会社は、取引先がどのように今後物流を維持していくのか注意を払う必要があり、商品が手元に届くまでの期間など事前に確認する必要が生じる場合もあるので、ご注意ください。

弁護士 森谷 拓朗