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遺言のススメ~遺言書を書いておいた方がいい人3選~ 

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 世の中には「遺言書を書いておいた方がいい人」というのが存在し、「もし遺言書があればもっと簡単に手続きができたのに…」という事例がたくさんあります。

 今回は、代表的な3つの例をご紹介いたしますので、もしも以下のリストに一つでも該当する場合は、残された大切な人のためにも、ぜひ遺言書を書いておくことを強くおススメいたします。

1.夫婦間に子どもがいない人

2.法定相続人以外(例:内縁の妻やお世話になった人など)に財産を残したい人

3.会社経営者や個人事業を営んでいる人
 

 以下にひとつひとつ解説していきますので、上記に当てはまった方は、お読みいただき、この機会に、遺言書を書くことを真剣に検討してみてください。

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1.夫婦間に子どもがいない人

 夫婦間に子どもがいない場合、残された配偶者と以下の①②のいずれかの親族(いる場合)が法定相続人となります。

 ① 死亡した配偶者の両親

 ② ①の両親がいずれも死亡している場合は、死亡した配偶者の兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合は、その子)

 例えば、夫が亡くなり、夫名義の自宅を妻名義にしたい場合、遺言書がなければ、妻は、夫の両親又は兄弟姉妹などの他の法定相続人全員との間で遺産分割協議を行い、他の法定相続人全員から、自宅を妻名義に変更することについて同意を得なければいけなくなってしまいます。

 また、関係性の良くない相続人がいる場合や、認知症など判断能力がない相続人がいる場合には、遺産分割協議そのものが困難になってしまうことがあります。

 遺言書を作成して、例えば「妻にすべての財産を相続させる」などと書いておけば、法定相続人間での遺産分割協議が不要になりますので、上記のような手間やリスクを減らすことができます。


2.法定相続人以外に財産を残したい人

 例えば、内縁の夫又は妻、息子の妻(お嫁さん)などに財産を残したい場合は、遺言書を作成して、その旨を書いておくことで、これを実現することができます。

 ◎内縁の夫又は妻は、長年一緒に生活しており事実上の婚姻関係があっても、戸籍上の配偶者ではない以上、法定相続人ではありませんので、遺産を相続することができません。

 ◎家業を手伝ってくれたり、献身的に身の回りの面倒を見てくれる、息子の妻(お嫁さん)がいても、法定相続人ではありませんので、生前中に何も対策をしておかなければ、遺産を渡してあげることができません。

3.会社経営者や個人事業を営んでいる人

 会社経営者や個人事業を営んでいる方は、遺言書作成の必要性は特に高くなります。

 なぜなら、円滑な事業承継のためには、株式や事業用資産(不動産、機械・設備など)をできる限り集中して後継者に速やかに取得させる必要があるからです。

 遺言書がない場合は、法定相続人間で遺産分割協議をすることになりますが、後継者が事業経営に必要な株式や事業用資産をすべて取得できるとは限りませんし、話し合いが長期化すると、事業経営に重大な支障を及ぼしてしまいます。

 以上のことから、事業承継対策として、遺言書の作成は必須とも言えます。

※ 遺言書を作成する場合は、遺留分(兄弟姉妹以外の相続人に法律で認められている最低限の遺産取得分)など、法律上、注意しなければならない点もありますので、ぜひとも専門家(弁護士、司法書士、行政書士)にご相談ください。

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 いかがでしょうか。上記の3つのいずれか該当する方でも、「まだまだ元気だし、先のことだから」と先延ばしにしてしまうことはよくあります。

 ですが、誰もが予想していなかった新型コロナウイルス感染症の拡大によって、多くの人が死について考える機会が生まれ、以前よりも遺言書を作成する方が増えたとも聞きます。

 この機会に一度遺言書の作成について真剣に考えてみませんか?

司法書士 大宮 麻由美