1. 公布日・施行日
公布日:2023年5月26日
施行日:2026年4日1日
※「著作権法」を「法」といいます。
2. 知っておくべき主なポイント
未管理著作物裁定制度の概要
3. 概要
(1)法整備の経緯
ア 権利者不明の場合の裁定制度及びその課題
他人の著作物を利用するためには、原則として、権利者の許諾が必要です。しかしながら、「権利者が誰か分からない」、「(権利者が誰か分かったとしても)権利者の所在が分からない」、「亡くなった権利者の相続人が誰なのか、またその所在が分からない」等の理由で許諾を得ることができない場合があります。このような場合に、著作物等の適法な利用を可能とする制度として、「権利者不明の場合の裁定制度」があります。
しかしながら、権利者が誰であるのか、またその権利者の所在が分かる場合には、同制度を利用することができません。そのため、権利者に対して連絡はできるものの応答がなく、権利者の許諾を得ることが難しい著作物については、同制度を利用することができず、必ずしも円滑な著作物等の利用に結び付かないという課題が指摘されていました。
イ 未管理著作物裁定制度の創設
上記の課題を踏まえ、「著作物等をこのように使ってほしい」、「使ってほしくない」といった、著作物等の利用可否に関する権利者の意思が確認できない場合に、補償金を支払うことにより、適法な利用を可能とする制度として、「未管理著作物裁定制度」 が創設されました。
(2)未管理著作物裁定制度の概要
「著作権等管理事業者により管理されておらず、利用可否に関する権利者の 意思が確認できない著作物等(未管理公表著作物等)」を対象とし、利用を希望する方(利用者)が一定の意思確認のための措置を行っても回答が得られないなど利用可否に関する権利者の意思が明らかでない場合に、文化庁長官の裁定を受け、補償金を支払うことで、時限的な著作物等の利用が認められます。

(3)未管理著作物裁定制度を利用できる具体例
以下のような場合が未管理著作物裁定制度を利用することができる具体例です。
- ① 他人の個人ブログで見つけた故郷の昔の風景写真を、自身が発行する電子書籍に掲載したい。写真の周辺や投稿者のプロフィール欄等を確認したが、利用の可否に係る情報も権利者の連絡先も見当たらなかった。
- ② 地方の博物館において、古い書籍をデジタルアーカイブ化したい。当該書籍には権利者が多数いたため、全員に利用の可否を確認するため連絡したところ、一部の権利者からは利用の許諾が得られたが、残りの権利者からは2週間たっても一切応答がない。
(4)未管理著作物裁定制度の申請手続
ア 権利者の意思や連絡先等の探索
利用の可否に係る権利者の意思及び権利者の連絡先等を探索し、 制度の対象となるかを確認します。

イ 権利者への連絡措置
権利者情報に基づいて権利者と連絡を試みます。連絡先が複数ある場合は2つ以上の連絡先に、利用を希望する旨を明示した上で連絡し、連絡ができない又は14日間応答がないことを確認します。

ウ 申請書の作成
著作物等の情報や利用方法、利用ルールや権利者の連絡先等探索の結果、権利者への連絡措置の結果や補償金の額の算定の基礎となる事項を申請書に記載し、提出します。
エ 裁定取消対応
権利者は、著作物等の利用に関して裁定を受けた者からの協議を受け付けるための措置を講じた場合等には、裁定の取消を請求できます。
裁定が取り消された場合、裁定による利用は停止され、権利者は著作物等が実際に利用された期間分(裁定があった日から利用停止された前日まで)の通常の使用額に相当する金銭(「取消時補償金相当額」といいます)を受け取ることができます。
取消後の利用については、権利者と利用者との協議によることとなります。
4.まとめ
この度「未管理著作物裁定制度」という新たな整備が創設されました。
著作物の利用にあたって、権利者と連絡が取れずお困りの場合には、未管理著作物裁定制度を利用できる場合がありますので、著作物の利用について疑問点や不明点があればお気軽にお問い合わせください。
弁護士 森谷 拓朗 弁護士 河合 響子
