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弁護士に学ぶ!成長のための企業法務~メルマガ版~vol.5(契約実務(海外企業との取引))

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  2018年春から、帝国ニュース【北海道版】で「弁護士に学ぶ!成長のための企業法務」というタイトルで毎月1回連載させていただいています。

 ここでは、同連載でこれまで取り上げたテーマを振り返りつつ、法改正や実務動向の変化を踏まえて、要点のみを改めて端的に伝えていきます。

今回のテーマは↓です。

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 契約実務(海外企業との取引)

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 当事者の合意内容を確定して、無用な紛争やトラブルを予防するといった目的で契約は締結されますが、それは海外企業との取引でも同様です。ただ、海外企業との契約ならではの注意点があります。以下の各事項をご確認ください。

1. 相手方企業の確認

 まず、契約を締結するに先立ち、相手方の企業のことを慎重に確認する必要があります。相手方の企業が実在していなかったり、法人としては存在していても活動の実体が無かったり、商談や交渉を行っていた人物に代表権がなく契約締結権限を有していなかったりすると、苦労して商談や交渉を行っても契約自体が無効になることがありますし、契約が履行されない可能性も高まります。現地に進出している銀行や取引先から追加で情報を収集したり、実際に相手方企業を訪問したりする等して、今一度相手方の企業の信用性を確認するようにしてください。


2. 契約書の作成

 次に、契約書を作成するとなると、取引の内容に関する規定ばかりを気にしがちですが、海外企業との取引の場合には取引内容をどのように規定するか以外にも確認すべき重要なポイントがあります。以下の各内容をご確認ください。

(1)契約書をどちらの当事者が作成するかを決める

 契約書の原案をどちらの当事者が作成するかについて、法律上、決まったルールはありません。当事者間の取引上の立場の優劣や契約書の作成能力や経験の有無等によって、どちらか一方が原案を作成することになります。ただ、先に原案を提示した側が交渉の主導権を握りやすくなりますので、できるだけ自社で先に契約書の原案を作成し、相手に提示しながら交渉を進めて頂いた方が良いと思います。

(2)契約書の正本の言語を決める

 契約書をどの国の言語で作成するかは重要な問題です。行政機関や銀行に契約書を提出しなければならない場合もありますので、当事者の両国の言語で作成する場合が多いように感じます。ただ、文章や単語の翻訳ミスやニュアンスの違いでそれぞれの契約書の意味内容が異なってきてしまうことがありますので、締結する契約書において、どの言語の契約書を「正本」として優先して解釈するかを契約書に予め規定しておく必要があります。また、双方の認識に食い違いが生じないように、予め「正本」の契約書は英語で作成することにして、各自がそれを翻訳するというやり方をとる場合もあります。
 いずれにしても、契約書に用いられる法律用語には独特の言い回しや表現が用いられることも多いので、翻訳する場合には、契約書の翻訳経験が豊富な翻訳会社や弁護士等の専門家に相談しながら進めるようにしてください。

(3)準拠法を決める

 契約書が準拠する法律(契約の法的解釈をする場合にどの国の法律を基準とするか)を予め契約書に規定しておく必要があります。準拠法をどの国の法律にするかによって、契約書の確認を依頼したり相談したりする専門家も変わってきます。例えば、日本の弁護士は日本の法律については精通していても、中国の法律は疎い場合が殆どなので、準拠法が中国の法律の場合には最終的には、中国の弁護士や中国の法律に精通している専門家に相談しなければ適切なアドバイスを受けることはできません。

(4)裁判管轄や紛争解決機関を決める

 準拠法の問題と併せて確認すべきこととして「裁判管轄」や「紛争解決機関」があります。当事者間で紛争に発展した場合に、どの国の、どのような紛争解決機関で解決するかを契約書に予め規定しておくことで、いざトラブルや紛争になった場合の解決方法の目途を立てることができます。紛争解決機関の定めには、裁判所以外にも、解決に要する時間、費用、労力等の観点から負担の少ない国際仲裁機関を指定しておくといった場合もありますので、国際仲裁機関の利用を検討することも有益です。

(5)取引の内容

 ここでは誌面の関係もあるので詳細な説明はできませんが、以上の内容を確認した上で、取引の内容に関する規定を定めていきます。例えば、商品の内容・数量・価格、支払条件、独占販売権を与えるか否か、独占販売権を与えるとしてテリトリー制を設けて販売地域を限定するか、商品の引渡し方法をどうするか、商品に瑕疵があった場合の責任の負担をどうするか、契約関係の解消に関するルールをどう定めるか等を1つ1つ確認しながら取引の実情に即した形になっているか、リスクヘッジができているかを注意深く規定していく必要があります。

弁護士 奥山 倫行